Dejima Auto Tuning blog

古い逆輸入車をいじっています。コテコテすぎてクルマ関連業者さんにゆだねることができず、道具も使うスキルも充実してきました。2015年にサーキットでクラッシュしてからまだ補修ちゅう(中断している状態)作業するガレージと自宅が離れており、自宅を離れることができない状況になり、インドアでできるクルマの内装→ミシンや革漉き機、という流れです。

ジューキTSC-441と呼ばれる極厚用腕ミシンをベースにした革ミシンはアメリカで生まれ、今はTSC-441の中華コピーミシンで組まれている

デカいからというより、20mm厚くらい縫えるようにしているので、針が当然長く、通常の工業用ミシンが受け持つ範囲の縫い物はできないです。針が細いと長い分しなって折れやすいし、ミシンってのはひと針進めるたびに針であけた穴と針先端の穴を糸がこすれながら往復するんですが、このデカミシンではその距離もまあ平均的な総合送りミシンの2倍ほどあり、糸は太く丈夫でないと縫ってるときにもう擦り切れたりとか。

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本来は体育マットとか恒久的に張るテントなどを縫うミシンで、革用に転用したのは乗馬サドルを縫うアメリカにて。今はジューキのミシンでなく中国製コピーで販売されています。オレは日本人なのでジューキを買うべきか?とちょっと思ったんですが、革用の交換パーツはジューキでは売っていないし、コピーを買いました。


腕ミシンPfaff335と441セットアップ

 

革押えの調達は難航しました。パテント申請されていた部品ですが、会社がなくなり、パテント料も払わないわけですでに切れてます。

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441ミシン用革押さえ

入手した一部です。右上2つがジューキ441純正形状の布用押えです。

この後、シート外皮のエクセーヌの飾りステッチ縫うのに1番糸(かなり太目)で飾りステッチしたんですが、ティッシュペーパー縫ってるような手ごたえのなさでした。

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エクセーヌシート

その後革を縫うことがまったくなく、このミシンを使うのだけを目的に18ミリ厚の積層革を縫ってみようと準備していたら、ビビり音がするんです。


441 sewing machine chattering sound ビビり音

 

音がしている場所の不具合ではなく、全然違う箇所での切削不足が原因でした。


441 clone sewing machine shows its true ability コピー441ミシン 革押さえで18ミリを縫う

 

その後、問題が起こった箇所についてはただのブッシュでなくニードルベアリングを入れてようやく開発終了した、とジューキ441の前身のヤクモ441開発に携わった人に体験談を聞き、寸法の一致する汎用ベアリングをつけました。


441 clone Guide roller upgrade, no more scattering sound コピー441ミシン、交互押さえガイドローラーをベアリングに交換

 

ミシンがデカいため、中華サーボモーターでは1/4減速中間プーリーをかまさないと安全に縫えません。中華サーボはアパレル(服縫製)向けで低速性能はなく、革用にはまったく向いていません。その後、厚物用サーボの代表である三菱リミサーボをいくつも入手したので針位置検出器も合わせ装着しました。


三菱リミサーボモーター操作盤スイッチ修理、ミシン針位置検出器自作、サイビノールで錆取り✕

 

中華サーボは減速比が1/4になると針位置停止が働かなくなりますが、三菱リミサーボはそういうこともなく、中華サーボ付属検出器の中身をごっそり入れ替えたやつで作動。けれど、三菱リミサーボをいまどきのミシンに付けると検出器などは余ってしまうらしく、未使用4000円でヤフオクに出品されています。


工業ミシンの針位置検出器の中身を入れ替える

 

減速プーリーはいったん無しにしていましたが、ごく低速のときのトルクに不安があったので、減速しました。

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441ミシン三菱リミサーボなのに減速プーリー

ほぼセットアップ終了なんですが、あと一つ作業が残っていて、設定間違いで自動で縫い進められると危ないくらい強力なため、電源スイッチのほか、緊急停止スイッチを手元につけます。スイッチは確保しています。

 

このミシンで縫うようなゴツイものがないほうが障壁ですけどね。

うちの革関連の道具紹介

レザークラフト」というジャンルは昭和高度成長期から始まった業界主導の手工芸ムーブメントです。書籍もその方向に偏りがあり、教室形式ってのもそれです。当方は華美な身の回り品を持つ趣味はもともとなくてカービングなどがメインストリームである「レザークラフト」には興味が沸かず、道具も持ちません。手縫いもしません。ホックやファスナー等の金具もできれば使いたくありません。

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革漉き機2号

クルマ内装から入り、中古のミシンや革漉き機は必要だったというより「機械をバラすのが楽しい」からです。子供のそれと違い、組み立てたり、不具合が生じている箇所を探り、代替部品を調達したり作ったりするスキルもあり、国内外販売流通も発達しているのでバラバラのまま捨てることにはなりません。

 

 


Fortuna skiving machine assemble 東西独合併後フォーチュナの主軸アンギュラベアリング


ミシンや革漉き機を置いてるスペースの紹介

このほかハイポストミシンとスキャンカットがあります。


ハイポストミシンのセットアップ


ScanNCut LEATHER CIRCLE CUT 革円形切り出し

 

書籍等での説明がほとんどない道具群ですが、今はweb上で情報収集することができます。道具を使いこなすジャンルは英語圏のほうが頼りになります。入念に情報を得てから動きだしますので機種選択は中古も含め間違うことはありません。

日本の情報は「本格的な道具がない分スキルアップや気合で克服(こん棒もって銀行強盗)」みたいなのや、youtubeではごく基本的な事項だけなのに無駄に長く語ったりして、見る時間の無駄?てのが多いです(もちろん基本的かつ簡潔=有益なのもあります)。このblogでは「誰も言及していないけどとても大事」な機械のセットアップ等にフォーカスして紹介します。まったく入門者向けではありません。

スキャンカットのカッティングマットの延命

粘着しなくなったので剥がす。貼りつかないだけでなく、しっかり切れてしまっています。

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新しいアプリケーションフィルムを糊を上にして貼る。気泡が入らないよう。

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アプリケーションフィルムは仮貼り用途のためやや糊が弱いので、切る材料は貼りつかせるだけでなくマスキングテープで固定したほうが安全。ローラーで圧着も有効。

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カットの最初に刃の深さ確認で押す場所にはフィルムを貼っていないので、毎度フィルムが切れてしまうと面倒なので常にハーフカット-5くらいで切ってます。そこにもフィルムを粘着面下にして貼ったほうがいいのかはまだ試していません。

 

確実にカッティングマットの粘着面の寿命は延びます。ただし、毎度この塩ビだかPETだかのフィルムを切り込んでるわけで、刃の寿命が短縮するのかもしれない。

 

革刻印箔押し器を1万円で作る

試作品なので雑で塗装はしてません。

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PIDコントロールヒーター

こういう温度コントローラー一式は安くて、2000円くらいしかかっていません。100V200wヒーターが4本で2000円くらい、2本だけ使いました。

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ドリルスタンドにつける

ヒーターと熱電対挿してる板はアルミ合金です。いわゆる超・超々ジュラルミンですが、たまたまガレージにそれしかなかったので。熱伝導性でアルミ系ってだけです。その上のほうはスチール残材でテキトーに。この熱容積(約100cm3)に計400wは過剰気味で早いハンダコテ並みに設定温度になります。

上のドリルスタンドは大型で、型抜きなどにも使うかなと当初は思ったんですが、専用機を作ったほうがスマートなので、もっとコンパクトなドリルスタンドに装着し、箔押し型押し専用機にすることにしました。どちらのスタンドもうちにあったものです。

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小型化、卓上にボルトで固定

全高40cmで収まりました。予想よりレバー比が小さかったので延長パイプが台からはみ出すくらいでちょうどいい力具合でした。柱がパイプでしなりを感じたので、このあと中実棒に交換し、柱を延長パイプとして使うと写真のグレーのパイプよりフィットが良く、ふふふ、となりました。箔はまあトイレットペーパーロール状なので同じような設置がベスト。温度は2秒ほど押すんだったら90度くらい、110度くらいでパンっと強く押すのも有効。手持ちの革を試してみたところ、クロム鞣しは刻印圧だけだと1時間くらい経つとかなり戻りますので、箔押し併用すべきです。温度が200度とかで色がつくくらいの焼き印状態だと押したとこが硬くなり、場合によっては収縮しました。

真ちゅう刻印はφ30ミリで2000円、アクリル光造形のだと半額と手軽なので、いろいろ注文しようと思います。

フォトインタラプタとフォトリフレクタの売り方がめちゃくちゃで困る

できたので切って冷蔵庫の扉に貼り付けてます。f:id:kazuhix:20200609102000j:plain



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マグネットシートなので貼り付く

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フォトリフレクタで検知

 

シグナルをミシン制御箱が検知しません。理由は白黒エッジ検出後急速に減衰するからで、速い切り替え用途の回路でした。面実装コンデンサバイパスさせたりしたけど、このフォトリフレクタを使うのはあきらめました。

 

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しょぼい中華針位置検出器を改造

この針位置検出器はマグネットが1つついていて、磁気センサが2個、180度の位置にあるやつで、しょぼい設計。ハンドホイールに貼り付けていたマグネットシートと同じ機能をするディスクを2枚作り、

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オムロンフォトインタラプタで検知

上のディスクは回して固定できるので上下停止位置を調整できる。フォトインタラプタは2枚のディスクを入れるためフトコロが深いものを選んでオムロンになったのだけど、5Vでも12Vでも作動するし、出力段にトランジスタかましてあり、とても使いやすかった。透明と黒をネガポジ変換したパターンと同じHI/LO信号も配線を1つGNDだか5Vだかに繋ぐだけで変更できる。これで当然ミシンは三菱純正針位置検出器と同じ動作でピタリと針が下死点、上死点で止まるようになりました。

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Ho Hsingサーボでも試してみた〇

Ho Hsingサーボはもう使わないつもりだったんだけど、針位置検出器は8ピンDINコネクタになっており、ご覧のように接続すれば今回作った検出器が使えました。黒い線は「検出器が接続されていないか壊れていますエラー」を回避するためのシャント。物理的接続の有無を知らせてるだけのギミックで、この機械ダメなヤツが設計したな、と。

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動いたが設定がウザすぎて放る

減速プーリーをかますと1/12減速となり、針位置検出器信号より先にエラーになっちゃうのを回避するためにプーリー径を入力。径200ミリくらいが最大だったので、小さい数値を入れました。この後針位置停止していたんだけど、微速でしか回らなくなり、設定が三菱サーボに比べるとかなり煩雑なので放って三菱サーボに戻すことにしました。

 

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減速プーリー

三菱サーボは微速運転制御がペダルで十分コントロール可能なんですが、1.5cm以上とかこの極厚クラスミシンでないと縫えない革ではトルク足りなくなりそうなんで、Ho Hsingサーボで使っていた減速プーリーをつけることにしました。ほとんど台の底板に当たる場所になると、固定やペダル連結棒の造作が面倒です。

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減速プーリー軸はテーブル上に

このミシンはテーブル固定で、後ろに倒してメンテする構造でないので、ミシン後部の台上に設置可能なことに気づき、ブラケットをちょっと改造、三菱サーボは本来のテーブル裏に直付け可能となりました。

 

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完成

いつまでたっても試作のままに感じるのでプーリーやベアリングユニット等に色を塗りました。減速プーリー無しのときよりミシンプーリーを大きくして総減速比は1:8くらいにしてます。減速比が変わったせいでエラーで回りませんでしたので、モータープーリー径とミシンプーリー径を1:8となるように入力したら針位置検出器機能を生かしたままでの減速が可能となりました。さすが三菱製。

Inkscapeで「円周に沿ってコピペ」の難易度

分度器や時計文字盤をInkscapeで書くのは手順が大変です。これをマスターするより、CADを使い下書き… ラインの分断トリミング延長コピペがものすごく楽。刻みの一つを指定し、センター座標を指定し、角度とペースト回数を指定で全周できる。円の小さいのをオフセットで作るのがかんたん。アドビシステムズイラストレーターならさほど手こずらなかった記憶。

 

Inkscapeは製図より描画寄りのソフトであることを再確認。で、CADでDXF保存してからInkscapeで開いて数字を追加し、Hershey フォント変換でストローク化。DXFをInkscapeで開くときにスケール情報が失われるので、A4に入る大きさで読み込むのがポイント。
最後はスキャンカットのキャンバスワークスペースにインポートし、ドローとカットラインを分別…ここで詰まる。レイヤー構造なんだろうけど、各コンポーネンツのクリックでの選択ができない。選択されてしまうやつを「最背面に配置」していくしかないような、とほほ。これはブラウザ動作版なので、ダウンロードPC版でもやってみるかな。

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円周に沿ってコピペ

この円周配置や円周オフセットをInkscapeで試す過程で落ちまくりました。GIMPの落ち方に似てる、こちらは今ぜんぜん使ってないけど。

Inkscape1.0でドローやカットするためのストロークフォント生成が可能

ただし日本語はできない。

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Hershey text

Inkscapeでテキストを選択>エクステンションメニュー>テキスト>Hershey テキストで10種くらいでるうち、割と端正なフォルムに変換したのがこれ。くだけた字体もある。

svgで保存したあとスキャンカットのキャンバスワークスペースにインポートするとちゃんとストロークフォントになっている。ここには示していないが、イタリック(というより単に傾けた斜体)もある。

変更後はフォント情報を保持していないので、ベクターとして扱うなら拡大縮小もできて実用になる。

フリーのkst32bをスキャンカットのキャンバスワークスペースにインポートした場合は曲線が分断された短い直線の集合体となり、機械でドローやカットを行うと、都度ペンやカッターが上下したり、別々の遠く離れて配置している字を行き来してトレースしてまあ全然実用的じゃなかったが、こっちはほぼ一筆書きを保持しており、有望だ。Inkscapeは割とスキャンカットと相性が良い気がしてきた。