「トマトにグルタミン酸とイノシン酸アスパラギン酸が多く含まれる。どちらも旨味物質」アスパラギン酸は旨味受容体アゴニストとは言われてないはず
グルタミン酸が多いってのは本当なのか? そうだとしてみんなはトマトにグルタミン酸味を感じてるのか?という話。
海外の論文では実の遊離アミノ酸としてはグルタミンが多く、大きく差を付けられた2位がグルタミン酸。

品種マネーメーカーいわゆるミニトマトの計測。日本の研究者は頼りにならんのよ
ではトマトにグルタミン酸が豊富といい出した日本人は誰か?ってなりますよね。手抜き料理YouTuberのR氏ではありませんw
これじゃないの↓ 研究者っぽいけど業績をみたら企業の人なのでね。日本デルモンテはキッコーマンの傘下、アメリカ本家は破産したけど廃業はせず事業継続するそう

数値はmg/100gなので最初の論文の数値の1/10になる。著者は日本デルモンテの人
ケチャップのデルモンテ顧問をしてた先生の2012年の解説で引用してる表ですが
引用が間違ってるんです。日本栄養・食糧学会ホームページデータベース2012年 食品の遊離アミノ酸データ表を見るとxlsファイルでした。
デルモンテさんの表中では、
アスパラギン酸 トマト22.7、トマトジュース 32.8
グルタミン酸 トマト93.6、トマトジュース136.2
となってますが、xlsファイルで探すと、

引用元データ 日本栄養・食糧学会データベースのxlsファイルより
その数値は、違うアミノ酸(Ser・Gln)のもので
正しくは、というか実はこれも正しくないことが判明するが学会データファイル通りだと、
アスパラギン酸 トマト 24.0、トマトジュース 57.3
グルタミン酸 トマト 7.8、トマトジュース 9.2
アスパラギン トマト22.7、トマトジュース 32.8
グルタミン トマト93.6、トマトジュース136.2
他のアミノ酸と比べグルタミン酸は多くはないです。そして元データファイルに記載の他の野菜と比較するとグルタミン酸がもっと多いものはたくさんある。
故意にグルタミン酸含有量を多く見せるためにそうしたのか?それともAsp・Asn、Glu・Glnのアミノ酸3文字略号を間違って記憶してるか。
高田氏の表にはグルタミンとアスパラギンが載っていないこと、もっと新しい研究があるだろうにあえて古い計測データしかもxlsファイルを開かないと参照できないものを引用してることから故意で取り違えたんだと推察します。そしてこれ以降の活動歴は拾えないことから「トマトはグルタミン酸が多い」というウソ吐きをトマトで稼いでるデルモンテへの置き土産に引退してるっぽい。もし間違いを指摘された場合も故意を否定し「いやー恥ずかしながら3文字表記を取り違えました」が通るやり口。
デルモンテでないもういっぽうのトマトケチャップ屋さんはリコピン推しでグルタミン酸にはあまり触れませんよ。
だけでは終わらず。日本栄養・食糧学会のxlsファイルも重大な引用ミスをやらかしており、元データは1976年、日立製アミノ酸分析計を導入して嬉しい人が片っ端から計測した文献を見ると、グルタミン酸の数値は学会xlsファイルが取り違えたセリンのそれの10倍より多い。

グルタミン酸はグルタミンよりちょっと多い
学会データファイルの誤りを正した日立アミノ酸分析計の計測値は、
アスパラギン酸 トマト 24.0、トマトジュース 57.3
グルタミン酸 トマト 106.1、トマトジュース 189.4
ちなみに
グルタミンは トマト 93.6、トマトジュース 136.2
そもそも50年前の日立の最先端計測器というおもちゃを手に入れて嬉しくて片っ端から計測して論文にしたようなデータを鵜呑みにしていいのか?当時その機械を持たなければ追試できない性質のデータ。その論文以外にトマトの遊離グルタミン酸の引用できないのか?誰も追試しなかったのか?ジャンルが栄養学だししょうがないか。
著者が現在も現役研究者の2018年の論文でも同じ日本栄養・食糧学会のデータベースを参照したグラフを作ってるが、グルタミンとグルタミン酸の数値を入れ替えて作図してます。

辻褄があわなくなるからわざと取り違えてるよね
もう日本はいいから外国で探そうというわけで最初の論文が読めたわけ。

マネーメーカーという品種のミニトマト
グルタミン酸は多いっちゃ多い(2位)が、一番のグルタミンと比べると6%くらいしかないのか。
分析計生データのグルタミン酸とグルタミンのピークは近接してるから判断難しいのよね。グルタミン酸+グルタミンは実に蓄積されてるのは間違いなさげだけど多いのはグルタミン、グルタミン酸味が欲しければトマトの葉や根を食え。ちなみにレンズ豆などグルタミン酸を多く含有する植物は多くあるが、タンパク質を構成するアミノ酸成分として含まれているわけで、料理に使っても旨味は感じないはず。
他では韓国の研究グループがミニトマト5種の遊離アミノ酸含量を報告しており、それだと総アミノ酸中でグルタミン酸がおよそ半分を占める、ってか上に挙げた論文でのグルタミン酸の100倍超多い。実験方法を見たがタンパク質分解処理は行なっておらずエタノールで抽出しただけ。熟してタンパク質の自己消化が起きてる状態のトマト?抽出すりつぶしから抽出までの温度管理がマズいとそうなるのだろう、乾燥トマトでグルタミン酸が多いこととも辻褄があう。


健康食品会社所属の著者がひとり混ざるが、利益相反はなさそうでした。
- 味としてグルタミン酸は感じないけどなあ
- 実験手技上すりつぶしから抽出までの間低温が保てない時間があるとトマト自体のタンパク質の自己消化や糖からの代謝でグルタミン酸が遊離する?
てなわけで高グルタミン酸含有データの誤引用が過去にあったにしろ、白黒はっきりしないトマトの旨味とグルタミン含量の関連についてでした。どこかの種屋が開発して広まったF1種桃太郎のグルタミン酸量が本来のトマトとは大きく乖離して少ないとかだったりして、それを業界全体として伏せる意向があるだと怖いな。